はじめに
母乳育児には、赤ちゃんにとってもママにとっても、たくさんのメリットがあります。
「母乳は何となく良いと思うし、出るならあげたいな」 「免疫にもなるし、感染症の予防にもなるって聞いたから、母乳で育てたい」 「神経の発達が良くなるとか、IQが高くなるって聞いた。肥満や生活習慣病の予防にもつながるらしい」
そんなふうに感じて、 “できれば母乳で育てたい” と願う方はとても多いと思います。
ママ自身にとっても、 乳がん・卵巣がん・子宮体がんのリスク低下、 骨粗しょう症や糖尿病の予防、 産後の体重の戻りやすさなど、 さまざまなメリットがあると言われています。
「ミルクを作ったり哺乳瓶を洗ったりしなくて済むし、 自分の母も義母も母乳で育てたって言っていたから、私も母乳で育てたい」 そんな思いを抱えてスタートする方もいらっしゃるでしょう。
思いは人それぞれ。 でも、 “できれば母乳をあげたい” と願う気持ちは、とても自然で、誰にでもあるもの。
その気持ちを、まずは大切にしてほしいのです。
あげたい、でもなぜかうまくいかない
でも、実際には思うようにおっぱいが出てこなかったり、 赤ちゃんがうまく吸ってくれなかったり。
「イメージしていたものと全然違う」 「なんだか難しいし、つらくなってきちゃった」
そんなふうに感じていませんか。
母乳育児が良いということは、多くの人が知っています。 そして、周りのママたちは当たり前のように母乳をあげているように見える。
だからこそ、 「自分にも当たり前にできるはず」 そう思っていたのに、なぜかうまくいかない。
そのギャップに戸惑って、 「私って母親失格かも…」 とまで感じてしまう方もいらっしゃいます。
壁にぶつかったときの、あの何とも言えない挫折感。 これは、経験した人にしかわからない、とてもつらい気持ちです。
「こんなに毎日何回も授乳するなんて思っていなかった」 「毎回赤ちゃんに泣かれて、嫌がられているみたいでつらい」 「もうやめてしまいたい」
そんな気持ちになることも、決して珍しいことではありません。
どうすればいいの?
思うようにいかないのは、ある意味とても自然なことです。 初めから完璧にできる人なんていません。
うまくいかないのは、 ママが悪いわけでも、赤ちゃんが悪いわけでもありません。
「こんなはずじゃなかった」 「どうして私だけ…」 そんな焦りや不安、 周囲からのプレッシャー、 産後の疲れや寝不足。
こうしたいろいろな要素が重なって、 本来うまくいくはずのものも、うまくいかなくなってしまうことがあります。
赤ちゃんにもタイミングがあります。 おっぱいにも、その日のコンディションがあります。
まずは深呼吸して、 焦らず、落ち着いて、 赤ちゃんとご自身の状態にそっと目を向けてみてください。
そして、 休むことも大切。頼ることも大切。
一人で抱え込んでしまうと、 本来できるはずのことも、どんどん苦しくなってしまいます。
「吸えないおっぱいはない」と言われています。 ただ、その道のりは一人で頑張るには長く、つらいこともあります。
だからこそ、 必要なサポートを受けてほしいのです。
母乳育児には「技術」と「関係性」がある
母乳育児というと、 「自然にできるもの」「本能でできるもの」 そんなイメージを持たれがちです。
でも実際には、 “技術”と“関係性”の両方で育っていくもの なんです。
授乳には、こんな要素が関わっています。
- 姿勢
- 抱き方
- 赤ちゃんの吸着(ラッチオン)
- 授乳のリズム
- ママの体調や気持ち
- 周囲の環境
これらが少しずつ影響し合って、 母乳育児はゆっくり育っていきます。
だから、 初めから完璧にできる人はいません。
焦りやプレッシャー、疲れ、寝不足…。 そんな状態では、うまくいくものもうまくいかなくなってしまいます。
母乳育児は、 “ママと赤ちゃんが一緒に育てていく関係性” そのもの。
できない日があってもいいし、 うまくいかない時期があっても大丈夫。
少しずつ、ゆっくりでいいのです。
誰かに話すことで、ふっと軽くなることがある
母乳育児がうまくいかないとき、 「こんなこと相談していいのかな」 「大したことじゃないのに…」 そんなふうに思ってしまう方はとても多いです。
でも、どうか覚えていてください。
気持ちを言葉にすることは、それだけで大きな一歩。
誰かに話すことで、 胸の奥に引っかかっていたものが、 すっと軽くなることがあります。
涙が出てしまうこともあるかもしれません。 でもそれは、あなたが頑張ってきた証拠。 ずっと抱えてきた気持ちが、ようやく外に出られたサインです。
一人で抱え込む必要はありません。 母乳育児は、ママが孤独になってしまうと、 本来できるはずのことも、どんどん苦しくなってしまいます。
だからこそ、 話せる相手がいること、理解してくれる人がそばにいること それだけで、母乳育児のしんどさは大きく変わります。
当院では、ママと赤ちゃんに寄り添ったサポートを行っています
当院の訪問では、 赤ちゃんの飲み方や授乳の様子を一緒に確認しながら、 今の状況に合った方法を一緒に探していきます。
抱き方や姿勢、ラッチオンの状態、 ママのおっぱいのコンディション、 赤ちゃんの飲み方のクセやタイミング。
そのときの“お二人にとって最適な形”を、 一緒に見つけていくサポートです。
母乳育児は、 身近に理解してくれる人がいるのといないのとでは、 しんどさが本当に大きく変わります。
「これでいいのかな」 「どうしたらいいんだろう」 そんな不安を一人で抱え込まなくて大丈夫。
必要なサポートを受けながら、 少しずつ、ゆっくり、 ママと赤ちゃんのペースで進んでいければいいのです。
今しかない赤ちゃんとの時間を、 少しでも安心して、穏やかに過ごせますように。
